満理子のリハビリ日記

ステージ2
1.今度はスプーン
2.テレビの操作
3.キーボード
4.一人で食事

1.今度はスプーン

平成12年6月20日
相変わらずストレッチはつらそうです。
今日は、正しい座位を保って訓練するための机を用意されました。
机に腕の動きを助けるためのバランサーを取り付け、まず、先生の助け無しで棒を抜いて移動する訓練をやりました。
なかなかうまくできず、ぎこちないですが1本5分くらいかけて何とかやりました。

次に、特殊スプーンを使う訓練です。満理子は右肘が硬くて、手を口まで持っていくことができません。 そこで、長くて曲げが自由にできるスプーンで試してみることになりました。
うまくすくうことができないので、力が入り手が震えてきます。 せっかく、うまくターゲットがスプーンにのっても震えですぐに落としてしまい、口まで持っていくことができませんでした。
しかし、かなり細かい作業をすることができるようになったし、バランサーを使えば腕が少し上げられて左右に大きく動かせます。

2.テレビの操作

平成12年7月11日
今回は具体的な生活の訓練の一つとして、テレビの操作と電話の応答の訓練をしました。
今回の訓練のために先生はテレビのリモコンスイッチと電話のON/OFFスイッチを制作されました。それとヘッドホンタイプのレシーバーを用いて訓練を行いました。


満理子の真剣な顔!

最初はテレビの操作です。 左の写真がその状況です。 操作は指で押している赤いボタンが電源のON/OFFです。 1回押すと電源が入り、またもう1回押すと切れるという繰り返しです。
ボタンの横にレバーがついていて、それを軽く倒し込むとカチッと音がします。そうするとテレビのチャンネルが変わります。
ボタンを押す操作は比較的うまくできました。 しかし、レバー操作は倒し込んだらそのままで、元に戻すことができず、なかなかうまくできませんでした。
次回はチャンネルの変更もボタンでできるように改造をしてきてくれるそうです。

次に、電話がかかってきた時に応対できるようにした装置を用いて訓練をしました。
電話がかかると、押しボタンを1回押すとつながります。 それでヘッドレシーバーで会話をするということです。
ちょっとボタンが小さかったためかうまくボタンを押すことができませんでした。 緊張したり力が入ると震え出すためにボタンを連続で押してしまったりするためにすぐに切れてしまいました。
手助けをして通話状態にしてやり、やっと先生と電話で会話をすることができました。 子供の電話ごっこのような会話で笑っちゃいました。

いずれの訓練も自分でこれをやるといった、しっかりした目的意識をもってやっているとは思えません。 ボタンを押すことが目的でそこに集中してしまってチャンネルを変えているという意識が無いようでした。
今後の課題として、テレビがみたい、電話でしゃべりたい、といった具体的な欲求を行動に変える意識的な訓練、または意識向上が望まれます。

今回は施設のリハビリでお世話になっているSさんが お互いの訓練の効率を良くするために見学にみえました。

3.キーボード

平成12年7月26日
今日の訓練は訪問看護と重なりました。 看護婦さんに連絡したらぜひ見学させて欲しいということで訓練の様子を見ていてだくことにしました。
O/Tの先生も、訪問看護の時に可動部の運動やストレッチをやってもらえたら、効果が倍増するので指導を兼ねて快く承諾をいただきました。

いつもの訓練前のストレッチが始まりました。 看護婦のYさんは、泣きそうな満理子の顔をみて「がんばれ!」と応援してくれました。
次に、お箸の訓練です。 この訓練は毎回必ず行って、進歩の度合いやその日の調子を判断する目安にしようということになりました。
確かに、回を重ねる毎に旨く使えるようになっています。 特に今日は、目的のところにさっと箸を持っていきすぐに挟んで移動することができました。
看護婦のYさんはそれを見てとても驚かれましたが、毎回見ているO/Tの先生や私はこのすばやい動きにもっと驚いたのいたです。
きっと、ギャラリーがいると違うんだね、ということになりました。

この時点で、看護婦さんは次の家に行く時間になってしまったので、後日、再度見学をしてもらうということにして帰られました。

満理子は疲れてくると斜頚してくるので、今日は首にカラーをはめてやってみることにしました。
これによって良い姿勢が保て、視線も定まるので訓練がはかどると思います。
そして、キーボードを打つ訓練をしました。 このキーボードは打ち込んだ文字を音声で出力するものでした。

手の動きの悪い満理子にとってはこのキーボードではちょっと難しかったです。 キーボタンが小さく、また、肘が上がらないので広範囲に手を動かせず目的のキーのところへ手を移動できませんでした。
そのうえ、箸の練習にエネルギーを使ってしまったのか、集中力も無かったのでこの日の訓練は終了になりました。

4.一人で食事?

平成12年8月22日
最初にバランサーをつけて輪投げに挑戦しました。
輪っかを拾って輪投げの棒に戻す作業です。 これは、意外と手助け無しですんなりとできました。
但し,テーブルに置いてある輪をつかむのは難しくて失敗を繰り返していました。

 
輪投げに挑戦

次に、最終目標である自分で食事をする訓練です。
最近、箸はかなりうまく使えるようになってきたので、箸でつかんだものを口まで持っていくことができるか試してみました。
相変わらず、ひじが硬くて曲がりません。その状態で口まで運べるかが大きな問題です。
スポンジを箸でつまむのは完璧でした。 次に、おかきを箸でつまみ、口まで持っていこうとしましたがこれは全然だめでした。
先生が手助けをすれば、何とか箸の先が口まで届きました。 手首をうまく使えるようになれば多少肘が硬くても一人で箸を使って食事をするめどがつきました。
これからは、繰り返し訓練を重ねて、可動部だけでも思い通りに動かすことができるようになることを期待します。

 
箸で物をつまむのはほぼマスターした               肘が曲がらないので口までは・・


せっかく食べかけたおかきを落として大笑い

平成12年8月29日
最近、お箸を使う訓練が非常にうまくいっています。
今回はどうせ無理だろうけど、ものは試し。 普通のお箸で試してみよう、ということになりました。
最初はお箸を持つことさえできませんでした。
先生が手助けして、やっと持つことができ、次にいつものスポンジをはさむ練習を始めました。
何度も言うようですが、先生も私も絶対に無理だと思っていたのです。
ところが、いきなりターゲットの向かって手が走り、なんと、うまくスポンジをつまんでいたのです。
これには、二人ともびっくり仰天。思わず拍手をしてしまいました。
まだまだ、一人で食事をするにはほど遠いですが、毎回,確実に進歩しているのが目に見えるのはとてもうれしいことです。


驚きの箸技

To Be Continue

inserted by FC2 system