満理子のリハビリ日記

ステージ3
1.車椅子の運転
2.わずかな進歩
3.ストレッチ
4.20世紀最後の訓練

1.車椅子の運転

平成12年10月11日
あまり目新しい訓練をしていなかったので、更新をサボっていましたが久しぶりにご報告します。
まず、お箸の使い方は安定してうまくいっています。 手先の動きが随分器用になってきました。
手首もかなり旨く使えるようになってきたのですが、力が入ると手が裏返る方向に回ってしまいます。
肘は相変わらず堅くて、曲りませんが以前よりは角度が深くなったような気がします。
今回はスプーンに挑戦しました。

次に、幼児のおもちゃで、いろんな形の穴が空いた箱に、その形の合うブロックをはめ込む練習をしました。
これはかなり難しく同じ形を選ぶ事もできないし、ブロックを渡して穴を教えてやってもそこへ入れることはできませんでした。
まず、集中して物を見て判断ができないようです。ブロックを入れるには、角度をぴったりに合わせないと入らないので、その細かい作業ができません。 また、そういう細かい作業をする集中力がありませんでした。 まだ、意欲を出す部分が治っていないようです。
お箸やスプーンを使ったり、輪投げやブロック入れなどの細かい作業は継続的に訓練していきます。
徐々にでも、旨く使えるようになって自分の意志で何か作業ができるようになることを期待します。


別の日に、病院の電動車椅子を持ってこられました。ヤマハのJW1です。
ジョイスティックでコントロールするものです。
自分で座位をとれないので、ベルトで車椅子に体を固定し、クッションをあてがって座りました。
さて、初体験です。 手の動きが悪い上に意識レベルも完全ではありません。
どのようになるか、不安な反面、楽しみでもありました。
運転の仕方は理解しているようですが、うまく手が動かきません。集中力もなく、あさっての方を向いています。
先生の必死の指導でやっと手が動き始めました。しかし、指だけで押しているのでレバーが完全に倒れないでスイッチが入りません。もう少しストロークが短ければ指だけでコントロールできそうです。
すこし、手助けして動き始めましたが、今度は止めるためにレバーを戻すことができません。暴走です!
私にぶつかってきたので、注意すると「私が進むところにお父さんが居るのが悪いのよ」ときました。
戻そうとする動作はするのですが、うまく手が動かない上に脳から手に命令する速度が遅いのです。
先日、納品されたポータブルバランサーを装着すれば、もっと手の動きがスムーズになるかもしれません。
動かそうとする意思は見えたのが今回の訓練の成果だと思います。

2.わずかな進歩

平成12年10月24日

今まで繰り返し訓練をしていて、わずかづつですが確実に進歩しています。
今回はその進歩している部分を具体的にお知らせしようと思います。
バランサーの助けを借りれば、自分の思ったところへ手を持っていくことができるようになりました。
お手玉を手で拾って、脇にあるカゴへ入れる事が自分の意思でできるようになりました。指示は先生が出すのですが、それを理解し,行動に移し、実行できるのです。 言葉で表すと何でもない事なのですが今まではそれができなかったのです。 次に得意の箸のあつかいです。 物をはさんで、放すことを確実にできるようになりました。 はさむことは比較的早くできるようになったのですが、放すことが難しいのです。

 

次は、ペンの使い方です。写真のように持ち方が自然になりました。 筆圧も強くなり、しっかりペンの跡が紙に残ります。 先生が紙に四角を書き、その中を塗りつぶすように言われました。 最初はなかなか四角のところへペンを持っていくことができませんでしたが、少し手助けをして近くまで持っていってやると目的のところへペン先を置き塗りつぶし始めました。 ここまでやるのに10分くらいかかりました。

 

約半年間にわたる訓練で得られたものは、言われたことを理解し、やろうとする意思と行動が一致するようになったことです。
たった半年で、こんなに変わった事への愕きと効率的に根気の良い訓練をしていただいた先生に感謝する次第です。

3.ストレッチ

平成12年11月7日

訓練をはじめる前に必ずストレッチをやります。 左半身は麻痺しているので緊張がなく柔らかいので可動範囲も広く痛みはありません。 ただ、左肩が亜脱臼で肩に腕の自重がかかると抜けてきます。
右半身は緊張があるために関節は結構硬いです。 特に右ひじはいつも45度くらいのままで伸ばしても、それ以上曲げても痛みがあります。 4月から訓練をはじめて、少し深く曲がるようになり、痛みも泣くようなこともなくなってきました。
ストレッチをした後はやはり手の動きもよくなり、肩もふだんはとても行かない高いところまで自分の力で上げられます。
手の移動も、いつもなら動き始めるまでとても時間がかかり動き始めてもゆっくりとしかできないのに、訓練のときは非常に反応がいいです。
しかし、30分もすると疲れてきて集中力もなく動こうとしなくなります。
先生が変えられた後はぐったりして一眠りです。

 
今は90度くらいなら平気です。                      腰が痛い     

 
肩も高く上がるようになりました                籠まで早く移動できるようになった

4.20世紀最後の訓練

平成12年12月19日
今年最後の訓練です。

いつものストレッチの後、車椅子に移って訓練をします。
最近、先生に教わった移動方法は介護者の腰への負担がありません。
その時に、満理子(患者)はかなりの前屈姿勢を強いられます。普段人は寝たきりの人は前屈姿勢をする機会が無いのでいきなり腰を曲げると激しい痛みを感じます。
そこで、移動する前に、少し腰を柔らかくする運動をします。普段からこの姿勢のストレッチをするのが好ましいです。
写真のようにベッドに座らせて、肩などを支えてやり徐々に前に倒していきます。 このとき、本人に痛みなどの具合を聞きながらゆっくりやります.。 かなりの痛みがあるようです。 何度か繰り返し、徐々に前屈角度を深くしていきます。

 
前屈準備運動

さて、車椅子に移って訓練を始めました。 いつものようにバランサーを車椅子に取り付けて、腕の動きを見ました。
バランサーの助けがあるとは言え、かなり高く肩が上がるようになりました。そのうえ、スムーズに動かせます。
その日の調子を判断するバロメーターになるお箸の訓練もやりました。最近は調子の良い状態が続いています。

 
  腕上げ                             お箸の訓練

生活訓練の大事な項目で最大の目標である食事訓練のうち、飲み物を一人で飲む練習をしました。
缶コーヒーをストローを使って飲んでみました。 缶はうまくつかんで支えられますが、普通のストローでは肘が曲がらないので口までストローが届きません。
そこで、先生がストローの長さを延長して試してみました。 ストローが長くなると、ふらふらして、なかなか位置が定まらずくわえることが出来ませんでした。 結局自分ではくわえられなかったので助けてやりました。 くわえることができると、飲むのは全然問題無く吸うことができコーヒーをおいしそうに飲みました。

 
肘が曲がらないので届かない             ストローを長くすると飲める

女性のたしなみとして、髪の手入れや化粧を自分でできれば楽しみも増えるのでしょう。先生はブラシや、くしに長いアームを取りつけたものを用意されました。 髪の手入れをさせてみましたが、やはりこれは非常に難しくて自分では全然できません。
思いどおりの所へ手を移動できないし、筋力が無いので、髪をとかすこともできませんでした。

しかし、やはり満理子も女性で、この訓練にはかなり興味を示しました。 
訓練はつらいものが多いので、目的意識を持たせ、且つ興味を持つことが訓練の効率をよくすると思います。


ブラッシング

To Be Continue

inserted by FC2 system