満理子のリハビリ日記Part2

ステージ3
1.成果発表
2.今後の目標
3.音楽療法/1回のセッションの過程
4.O/Tと施設の連携

1.成果発表

平成14年3月20日

訪問リハビリをしていただいている、O/Tさんのうちの一人で、時々来ていただいていた、新人(3年目)の方が、先日行われた茨城県作業療法士新人教育プログラム研修で、満理子に実施されていたリハビリの成果発表をされました。

リハビリでは、主にパソコンの入力の工夫を色々してくださいました。
発表の中にも書かれているように、私たちの希望を良く理解していただき、少しでも目標に近づけるような訓練をしてくださいました。
目標とは、現在の満理子の機能を生かして、楽しみや潤いのある生活を得ることです。
その手段の一つとして、パソコンを扱い、メールを出したり、ホームページを閲覧して、新しい趣味の発見や、面白いものを見つけることで、
退屈なベッド生活にも少しは変化が出てくると思いました。

リハビリ日記に詳しく書いてありますが、マウスを操作するために、スイッチを製作してくださいました。
今まで、色々試した結果で形状や押した感覚を決めたため、かなりうまく操作ができるようになりました。

そのスイッチを使って、徐々に訓練を行ない、少しでも私たちの希望に近づけ、先生達の努力に報いられたらと思います。
そして、研究発表の続編を書いていただけたらと思います。

次に、発表された資料を掲載します。


2.今後の目標

平成14年3月20日

前項で発表していただいたことで、 今まで行ってきたリハビリについての意義や効果が改めて示されました。
そこで、今後の目標を改めて考えてみました。

退院してから今までの約3年間、会田記念病院の訪問リハビリや、施設の「あけぼの」での通所リハビリや音楽療法、そして「あけぼの」のスタッフの方による生活の中での訓練によって大きな変化が見られました。 
運動機能の一部回復、意識レベルの向上、記憶力の進歩、集中力のアップ・・・
新しい訓練を始めてしばらくはその大きな変化に驚き、満理子の新しい可能性が見え喜んだものでした。
ただ、それも1年くらい続くと、進歩の速度は遅くなり、目に見えた変化は少なくなります。 もちろん、少しづつは変わっているのですが、当初の変化速度には及びません。
満理子にとって、訓練そのものが変化に乏しくなり、マンネリになっていくのは否めないと思います。
新しいことをやるのは、脳への大きな刺激になり、変化が目に見えるのだと思います。

今までの訓練のおかげで、会話は非常にスムーズになり、社会生活への対応ができたと思います。 そして、いろんなことに興味を持つようになり、積極性も少し出てきました。 何よりも、表情が豊かになり、家族にとっても本人にとっても生活に潤いが出てきたと思います。

今までのリハビリなどの成果や変化を踏まえ、今後、満理子にとってどうしていけばいいかを考えてみました。
今、満理子に足らなくてすぐに必要な能力は、自発性と集中力です。
会話は自ら積極的にするようにはなったのですが、相変わらず、要求を訴えることができません。 痛みやかゆみ、食欲や今何をしたいかなどは、いまだに私が察してやらなければいけません。
そして、集中力はなかなか持続しません。 集中力が出るようになれば、訓練の効果が倍増します。

そして、満理子の現存する能力を最大限に伸ばすリハビリ訓練をし、新しい可能性を見出してもらいたいと思っています。

 
ヘッドマスター

現存する運動能力は、右手・指・肩、そして頭はある程度自分の意思で動かすことができます。 上の写真は、先日O/Tの先生が頭の動きでポインターを制御する「ヘッドマスター」という装置で、パソコンを操作する訓練をしているところです。 これも、残存脳力を生かして、可能性を見出そうとしてくださる、先生の熱意です。

そして、施設の「あけぼの」では満理子の唯一の趣味であり、また自信のあるものの茶道に着目して、スタッフの方が満理子さんにお茶を習ってみようかと言う話になりました。
発病前の記憶はしっかりと残っており、茶道の話になると嬉々とする事が多かったのです。

お茶の道具を「あけぼの」で用意してくださり、道具の説明を満理子にさせてくださったようです。
本人はそれを、真剣に教えていたらしいです。
これは、満理子にとって、今までに無い、始めて積極的に人と関わる経験だと思います。
自信にもなり、自分の存在価値を見出し、これからのリハビリにいかしていってくれたらと思います。
「満理子の茶道教室」に私は大変期待しています。 この成果はまた日記でお知らせしていきたいと思っています。

今後は、今まで根気よく行っていた訓練は繰り返し効果による向上を期待して持続していき、
その上で、脳への刺激にもなると思われるので、常に新鮮な訓練や興味のある訓練を期待したいと思います。
それによって、また新たな可能性が見出されたらと思います。 
右ひじが動かないので手術も考えています。 右腕が自由に動くようになれば自分で食事することもできるようになり、可能性は、飛躍的に大きくなります。

そして、遠い、大きな目標として、自立とまではいかなくても、自分の意思で何かしてくれるようになればと思っています。
自分に自信が持てるようになれば、おのずから積極性も出てきて、人と接するようになり、新しい活動やメールやオフ会などでの社会参加ができるようになると思います。

そして、いつか、本当に茶道教室を開けるようになればうれしいですね。

3.音楽療法/1回のセッションの過程

音楽療法では、年に何度か、先生、スタッフと患者、その家族で会談する機会をもちます。
その場で、今まで行ってきた訓練の経過と成果、そして、それに基づいて、今後の目標設定をします。
その目標に向かって、先生は毎回のセッションでどのような訓練をするかを決定します。
曲目やその曲で何をするか、その目的をはっきりさせて、訓練に望まれます。
そして、その結果、どのような効果があったかを明確にします。

そして、下のような表を作り、家族に渡してくださいます。
これを見ることで、家族は、どのような訓練をし、その成果が把握できます。
そして、毎回、ビデオ撮影しているので、居ながらにして見学することもできます。

下表の2.マンボNo5のセッションの様子(WindowsMediaPlayerでご覧ください)が見られます。

第31回
4月17日 曇り
14:00〜14:30
あけぼの

満理子さん(C1)
準備:CTK-711,EP-70、テーブル(高さL)、MDデッキ、マラカス、にぎり易いボール、はこ
目標:第一回三者ミーティングを終えて、改めて目標設定=集中力の持続。記憶力のさらなるUP。現状況を正しく判断する思考力向上。  聴覚、視覚判断を高めること。 楽器配置変更。
曲目 活動 使用道具 目的 評価
こんにちは あいさつ:全員と握手を交わしながら
     歌をうたう
     1番:情緒的に
     2番:リズミカルに
テーブル上に幾つかの打楽器を用意
2番で各自好きな楽器を手に持つ
各自好きな楽器

マラカス
定番で始まることで活動開始の
スイッチをON! = 覚醒
マラカスを持つところで、自分で持ち方を工夫していたように
思えた(Teradaスタッフ)全体を通しての首の緊張が目立っ
たが、その時の傾きにより、鍵盤活動での視線が得られ易か
ったか?のように鍵盤上の指先の動きがスムーズで視線が
集中しており、信号が届きやすかったのではないだろうか。


声だしを伴った手の開閉は俊敏な動きが継続して見られる。
ステップアップとして、手にボールを握ってからの開の動きの
トライをするが動きが鈍にばってしまう。
”つかんでいるものを放す”という行為は何か抵抗感がある
のだろうか?ボールに関してはひとつに対して「これは重い
なあ」とつぶやきながら。  違う視点からは、ボールは1回
づつC1の選択で形式をとるが、このとき以前より決断が早く
なっている様子を見せた。以前はなかなか自分で選ぶという
ことが苦手な様子に対して変化が見られるのではないだろうか

3に移る前に充分に次のコーナーの意識付けをする。
促していないのに自分で歌いだす行動は初めてである。
その気が増したのか?本日の指の動きには驚くばかりの俊敏
を感じる。 何よりも鍵盤への視線の集中が得られたためであ
る。 では、それはなぜか? ここの部分の解明こそが今後に
繋がる重要な手がかりである。

4:春になって聞こえ出す外の音の効果音を聞くが、聴覚情報
による記憶は明確な事が多い。その奥行きも感じる。 
メインの音の背景で聞こえる音にも集中し、その状況判断から
この声の答えを出している作業がみられた。正解率は高く、
幾つかの小鳥の声の聞き分けが得られた
また、最後の歌唱でも、歌詞カードへの視線の集中が見られ
今では終始歌う事ができている。

次回からは、カラオケが部屋に入ったので、好きな曲をひとつ
づつ歌っていこうとやるきをみせていた。
全体を通して、集中力の向上が見られ、意識の高まりが伝わっ
てくるようであった
マンボNo5 手、指のストレッチ:ウーと発音しながら
指を閉じる。アーと発音しながら指を開く
何度も繰り返す。
ボールつかみ、はなし。
ボール
聴覚による運動指示、発音の違いに
よる手や指の開閉など音声と運動の
関係付けによる運動学習と機能回復
効果目的。 脳の運動野で手と口の
運動部位が近いことから関連性を狙う
=両手運動
世界は
二人のために
楽器活動:鍵盤を弾く
   =指先運動
テンポ&呼吸が重要
   =プレッシャーに
ならずに。 でも、緊張は緩むことなくの
ころあいを慎重に。
キーボード C1のできる楽器活動を心がけ、今後
意欲促進につなげたい。
メロディ分担することで、タイミングを
感じることから強い意志原動力による
動きを促す
効果音
(小動物の声)
鑑賞&おしゃべりタイム:テーマのある曲を聴いて感想を語り合い、その曲に
ちなんだ話題を楽しむ。
・この曲に自分ならどんなタイトルをつけたいか?
・テーマ:春になると聞こえ出す外の声
C1の大好きなおしゃべりを楽しみなが
ら、その内容に神経を配る。 過去の記憶探求やその曲から発展する創造的
思考の促進。短期記憶の向上
Say Yes さよならソング 拡大歌詞
カード
キーボード
マイク
しばらく、最後はチャゲ&飛鳥の曲をみ
んなで歌い、終わる。 C1の希望をく
みとることで、満足感を得ることとは現
在のC1にとって精神的に重要な事と
とらえる。現在の今後のC1の心の状態
に影響。

4.O/Tと施設の連携

平成14年5月24日

今、お世話になっている、O/Tさんは近隣の施設などを訪問し、介助法や介護用品の選択や使用法などの指導をされています。
満理子がデイサービスでお世話になっている「あけぼの」では、リハビリ目的のパソコン訓練や、スタッフのアイデアによる満理子の茶道教室など、いろいろな工夫をしてくれています。
それらの、活動を有意義なものにするために、O/Tさんが「あけぼの」に行って、実際に訓練を見て、適切な指導をしてくれます。
ウチの場合、訪問リハビリも受けているので、連携した訓練をしていただくと、より効率的なリハビリになります。

この日も、O/TのN先生が「あけぼの」に来られるというので、見学に行ってきました。

あちらが「あけぼの」での満理子のおかあさん代わり。
年齢は娘みたいなもんですが・・
こちら側が、おなじみのN先生。
腕の水平移動に、非常に有効な器具。
「エルゴレスト」といいます。
自助具扱いなので補助は出ません。
キッズピクトというお絵かきソフトを使って、
図形に色を塗ったりします。
図形や色の選択も満理子の判断に任せます。

今回は、パソコン訓練の様子を見ていただき、姿勢などの修正をされました。
集中してくると、緊張が高まり、首が右に曲がってきます(斜頚)。 そうすると、目線が定まりにくくなるので、次回はカラーをはめて試してみようということになりました。
満理子も、いつもとちょっと違う雰囲気なので、よけいに緊張が高まったようです。

訓練の様子の動画を撮影しましたので見てください。 
右手でマウスを動かして、カーソルを移動しているのですが、その速度が非常に遅いので、動いてるかどうかわかりません。

このように、満理子に関わる周囲の方たちが、非常に熱心に、考えてくれているので、ここまでよくなってきたと思います。

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