満理子のリハビリ日記Part2

ステージ1
1.ワープロ初挑戦
2.スイッチ操作
3.文章?作成

1.ワープロ初挑戦

平成13年5月2日
リハビリ日記もPart2に入ります。特にPart1と2の意味はないのですが、とりあえず区切りとします。
強いて言えば、初めて訪問リハビリをはじめて約1年の進歩をPart1と言えるかもしれません。
Part1の最後にはテレビゲームをするなど、かなり頭も体も使う訓練をするようになり、たった1年の訓練でこれだけ上達進歩したことに喜びと驚きを覚えています。

さて、Part2の最初の報告は、21世紀にはいり、小泉政権に変わりIT革命の年にふさわしい訓練をしていただきました。
HeartyLadderという文章作成ソフトを使って、文字を入力する訓練です。
このソフトは、フリーソフトで手が不自由でキーボードによる入力ができず、ワープロでの文章作成やメール交換ができない人のために開発されたソフトです。  

 

今回はトラックボールで入力しました、画面上に表示された文字配列にカーソルを移動してクリックすると画面上段の選択された文字が書かれます。 単語を書きこんだら、スペースをクリックすると文字変換されます。 操作は普通のワープロソフトとほとんど同じです。
手、指の動きが悪くカーソルの細かい移動が難しいときは配列全体の半分づつが交互に強調され、目的の文字が含まれる半分が強調されたときにクリックし、それを繰り返していって、文字を選ぶ機能もあります(ブリンクモード)。 この機能を使えばクリックだけで文字を入力することができます。
このソフトの詳しい仕様は、HeartyLadderのサイトでご覧になって下さい。

 

さて、訓練開始です。 まず使い方を説明し、理解させるのに少し苦労しました。 だいたい、ワープロなんて使ったことがなかったので、 病気とは関係なく基本操作がわからないんです。
とりあえず、カーソルを移動させて目的の字のところへもっていく練習をしました。 やりたいことはわかっているのですが、なかなか思うようにボールを転がせません。 ボールに手を乗せてしまうと、手を浮かせないので、カーソルは行ったり来たりしています。 それで、PSB(スプリングバランサー)で手を浮かし気味になるように張力を強くすると、少しうまくいくようになりました。
どうしても、手を乗せたり浮かせたりして、カーソルを一定方向に移動させるのが難しいようです。 気持ちはわかるので、満理子もギャラリー(先生と私)も手に汗を握ってしまいます。
やっと目的の文字を書き、次にクリックする動作です。 これは比較的うまくできました。 
今回使用したトラックボールは、ボールもクリックボタンも大きくてとても使いやすいものでした。
しかし、満理子にはまだトラックボールの使用は難しかったようです。 
理解はできているようなので練習次第で使えるようになるかもしれません。 今後も引き続き練習してくださるそうです。
その中で、違った入力方法もいろいろ試してくださるそうです。

このソフトは、メール機能もあるので、うまく文章が打てるようになれば、最高のリハビリにもなるし、本人の意思でEメールをうち友人達とコミュニケーションできるし、日記や文章を書くことで意識レベルの大きな変化も期待できると思います。

2.スイッチ操作

平成13年5月26日

最近、特に力を入れている訓練のひとつに、スイッチ操作があります。
最近の家電はリモコンで制御できるものが多く、うまくスイッチを使えれば、電源のON/OFF、テレビのチャンネル変更、エアコンの温度調節、電話を受けるなど、自分でできる生活行動が増えます。
今のところ、自分の意思で動かせる部位は右手の手首より先だけです。 補装具を使えば右肩が少し動かせます。右肘は固まっていて動かせません。 だから、どのようなスイッチが、うまく使えるかを探っている段階です。
前回の訓練では、パソコンのワープロの入力にトラックボールを使ってみました。

今回は、新人のO/Tの先生が来られました。 若い女性のO/Tさんです。
意識障害のある患者はちょっと荷が重いかなと思いましたが、根気よく訓練してくださいました。

 

一通りのプロローグを終え、いよいよパソコンの入力です。 今回はジョイスティック式の入力装置です。
右側にジョイスティックのレバー、左側にクリック用の押しボタンスイッチが並んでいます。
パソコンのソフトは6ピースほどのジグソーパズルです。 動かすピースのところへジョイスティックでカーソルを移動して、クリックして選択し、またジョイスティックでピースを所定の位置に移動させます。

  

ジョイスティックのストロークが大きくて腕を動かす量が多いためなかなかカーソルが動きません。 今度は動き始めたら、レバーを中立位置に持って来れないために、画面の端っこまでカーソルが行ってしまいます。
それに、レバーから押しボタンスイッチまで手を動かすのも困難です。
なかなかうまくいかないので、満理子もちょっと集中力が無くなってきました。

次の訓練では、テレビのチャンネルを買える訓練をしました。 スイッチは先生の自作で、電源とチャンネル変更の押しボタンスイッチが2つ並んでいて、大きくボタンの機能が表示されてあります。
実際に、テレビの制御をしましたが、これはかなりうまくできました。
トラックボールやレバー操作はスイッチに手を乗せてしまったり、手を元に戻す動作ができないのでうまくできませんでしたが、押しボタンの操作は比較的うまくでき、ボタンを選ぶこともできました。
今後も、いろんな種類のスイッチを試して一番使いやすいものを捜してくださるそうです。
生活行動のためと、動作の訓練とは少し意味合いが違うので、平行して訓練していくそうです。

 

平成13年6月20日

色々な入力装置を試していますが、今回はテンキーを試してみました。
テンキーのカーソル機能を使って、カーソルを移動させて、字を選択し決定します。
カーソルを移動させる動作は今まで試した入力装置の中で一番うまくできていました。
ただ、押している間中、カーソルが動いているので、目的の字の枠にカーソルが行った時にすぐに移動を止めることができません。
今度は、ゆっくり移動させるために、何度も押すことを繰り返してみました。 これは、うまくいきました。
ただ、これだと、カーソルの移動はワンクリック毎の移動なので、となりの枠まで行くのに10回以上クリックしなければならないので、目的の枠まで行くのにかなりの時間がかかりました。 二文字打ちこむのに15分以上かかったでしょうか。
そこで、HeartyLadderの開発者にメールで、ワンクリックでとなりの枠に移動できるような改造をしてもらえるかをお願いしたところ、早速ご返事をいただき改造していただけることになりました。
開発者の吉村骼さんに感謝する次第です。( 「まなつのみかん」 http://www.try-net.or.jp/~takaki/

テンキーのボタンを押すことがうまくできそうなので、お願いした改造ができるようなら、
満理子が皆さんにメールを出すこともそんなに遠い先のことではないかもしれません。

 

3.文章?作成

平成13年6月26日
ステージ1でいろいろなスイッチを試しましたが。その中で、テンキーにより入力が比較的うまくいきました。
HeartyLadderという文章作成ソフトで文字を入力する訓練を続けていましたが、テンキーを使ってカーソルを移動させると押している間中カーソルが動いてしまいます。
満理子は、指の動きが鈍く、また脳から命令を出して動作するまでの時間もかかります。 だから、思ったところでカーソルを止めることができません。
そこで、開発者の吉村骼さんにメールでご相談したところ、すぐに対応していただき、キーを押している間、カーソルが移動する時間と移動量を調整できるように改造していただけました。 これで、1回キーを押すとカーソルが一マス分移動し、押し続けていても見かけ上、次に移動しないようになりました。
早速、改造版を使ってリハビリ訓練をしていただきました。

 

今回は、女性のI先生に訓練をしていただきました。 今日の課題として「まりこ」と入力することにしました。
どうも、女性の先生だと、おしゃべりしたくて、訓練に集中しません。 バカなことばかり言って先生を困らせています。
それでもなんとか、目的の字の位置を指示して、カーソルを移動させようとするのですが右・左がよくわからないのです。

 
新人漫才コンビ?

そこで、左(4)に黄色のシールを右(6)に赤のシールを貼って、色でキーの位置を教えるようにしました。これでナンとか移動キーの判別ができるようになりました。 上・下はわかるので白テープのまま、決定(5)は縞模様として区別してあります。
集中しない満理子をナンとかごまかし、苦労して(先生が)一文字づつ打ち込んでいきました。
やっと「まりここここここ・・・・」と打ちこむのに20分くらいかかったでしょうか。

今回の成果は、キーの位置を識別し、手首を曲げることによって指の位置を買えることができ、キーをしっかり押すことができました。
今後、訓練を繰り返すことによって、動作は良くなっていくと思います。
問題は自分の意思で、打ちこむ文章を考え、それを実際に入力できるようになるにはもう少し意識レベルがしっかりしないといけないでしょう。
いろんな方に、お礼のメールを出さなければいけないのですがもうしばらくかかりそうです。


 
  色分けしたテンキー                初めて打った文章?

訓練を終えて一息

To Be Continue

inserted by FC2 system