食事訓練

手術後に意識が戻って会話できるようになった頃、栄養は鼻から管を通して供給していました。
口からは水分やプリンなどの柔らかいものは補給していましたが、よくむせたり、吐いたりしました。 
嚥下の検査をしたのですがよくわからないということで、悪くはないと勝手に判断しました。
先生からうまく食べられないようなら胃蝋をあけると言われたので、もう少し練習をするという条件で待ってもらいました。

その日から、我慢、根気の日々が始まりました。
鼻に管が通っていると呑みこみが悪いと思ったのではずしてもらいました。
最初の頃は
、1口食べるたびにむせてせきこみ、涙を流して苦しみました。
落ち着いたらまた口に入れて咳き込む。
その繰り返しで、食べられるのはやっと1時間に3〜5口程度。
妻にとっては苦しくてかわいそうでしたがどうしてもお腹に穴はあけたくありませんでした。
なぜなら彼女の最大の趣味は食べることだったので何とか楽しみを1つくらい残してやりたかったのです。

この調子なので当然栄養が足らなかったのですが、これを報告すると、また管を入れるかお腹に穴をあけられると思ったので看護婦さんには相当量を食べているとうそをついていました。
比較的水分はうまく飲めたので経口栄養剤のエンシュアリキッドを
1日1本飲んでいました。

そのうちに彼女は痩せてきて、骨&皮onlyになってきたのですが骨太の彼女は見た目にはあまりやつれては見えなかったのです。

毎日、毎日、根気良く少しづつ量を増やしていき、訓練をはじめて半年くらい経った頃には出された食事の半分くらいは1時間で食べられるようになりました。
また少しづつ肉もついてきて何とか訓練はうまくいったのです。

結果的に訓練は根気良く続けることでうまくいったのですが、これは賭けでした。
肺炎になる危険もあったし、妻もかなり苦しい思いをさせました。
やはり、医師と相談したうえで判断したほうが良いのでしょう。

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