初ドライブ

平成19年1月13日

 昨年の始めに、所属しているNPOで移送サービスを始めるので、我が家の移動用車両をその活動に適した軽の福祉車両(三菱・タウンボックスのスロープ車)に乗り換えました。 しかし、満理子がその車で移動するには乗り心地や安全面で少々問題があり、無理を強いていました。 そんな中、日テレの24時間テレビから福祉車両が贈呈されることになり、それを機に我が家の移動車両も乗り替えることを検討しました。
 福祉車両には多くの車種とタイプがあり、選択に困りました。 車椅子に乗ったまま乗れる福祉車両の方が乗り降りには介助者にとって楽なのですがやはり安全面と乗り心地には満理子の負担が大きいと思います。私の年齢的なこと(移乗能力)や満理子の快適性、安全性を考えて、思い切ってリフトアップシート車(シートが車体の外までせり出して車イスからシートへ移乗するタイプ)を候補にしました。 今なら、なんとか力技で移乗もできるでしょう。
 まず、車種の選定です。 元来スピード狂の私はスポーツカーに乗りたいのでスポーツカーを改造して乗れないかと半分冗談で考えました。 例えば、スバルインプレッサのワゴンWRXやHONDAのS2000、日産のステージア、マツダのアテンザスポーツワゴン等々。考えるだけでも楽しいですが、現実には改造の費用面や車イスの積載などの理由で不可能です。
 さて、現実に帰り、福祉車両のラインナップで一番充実しているのはトヨタと思われます。 昨年、NPOの遠足でお台場のMegaWeb(トヨタのテーマパーク)に行った時、展示してある車種の内、アルファードのスロープ車アイシスのリフトアップシート車に興味を持ちました。 アルファードのスロープ車は豪華でとてもよい車に感じましたが、少々お高い。でも、将来、力技の移乗ができなくなったときは予算があればぜひ乗りたいクルマです。 そして、アイシスについては5ナンバーの割りに大きく感じました。シートアップは助手席とセカンドシートを選ぶことができます。 満理子は体が巨大な上にひざがしっかりとは曲がりません。 助手席タイプだとシートが上がる時に足が引っかかりそうです。展示車はセカンドシートが上がるタイプです。早速、実際に満理子が試乗しました。 移乗については、慣れれば大きな問題はなさそうです。 ワイヤレスリモコンでシートが上がっていきます。 アイシスのもっとも大きな特徴は助手席のドアと後ろのドアの間に柱が存在しません。 とても大きな開口部です。 そのおかげで、足を伸ばしたまま車内に格納することができます。車内に収まった後はリクライニングやシートスライドはすべてパワーで動きます。 見た目には収まりは良さそうです。
 次の大きな問題は我が家の巨大車イスが荷室に乗せられるかです。 フットレストとヘッドレストを外すと何とか乗せることができました。 カタログを見ると走りもなかなかスポーティーのようです。 これで、第一候補が決定しました。
 娘が中古車屋に勤めているメリットを利用して、アイシスのウェルキャブがオークションに出品されるのを見てもらっていました。すると、とても程度の良い車両が出たと言うことです。 その上、そのとき乗っていたタウンボックスのスロープ車が欲しいと言うお客さんが現れたと言うことで、これ以上のタイミングはありません。 早速、取引を成立させました。 昨年の12月中旬に納車され、さあ、ドライブに連れて行こうと思った矢先、満理子が体調を崩し、年末まで入院することになってしまいました。初ドライブは翌年までお預けということになりました。
 
アイシスの外観 とっても広い開口部 これから移乗
乗り移りました 持ち上がった! 無事格納
リクライニングさせてゆったり 車内の様子 稲田志保子さん
 年が明けて、やっと初ドライブの機会ができました。 昨年、NPOのコンサートでお世話になった方の関係で、稲田志保子さんという電子ピアノ奏者のコンサートが土浦で開催されるのこと。 そんなに遠くないので、行くことに決めました。
1月13日(土)は朝から快晴で若干寒いものの絶好のドライブ日和です。 スロープ車やリフト車に比べると車に乗るまでの手間と時間はちょっと大変です。特に雨の日の移乗はこれから解決しなければならない最重要点です。 移乗はシートの高さを調整すれば、それほど大きな力は必要ありません。但し、乗り移った後最適な座位にするには多少のコツが必要です。 リモコン操作でラクラク持ち上がります。たしか、100kgまで乗れるはずです。満理子は何とかクリア! 中に入るときに少し頭が当たりそうになります。大柄の人は当たってしまうでしょう。 自動的に定位置まで移動し固定されます。 電動でリクライニングさせもう一度座位を修正し、シートベルトを装着。 
 その後、車イスを後部荷室の乗せます。 フットレストとヘッドレストを外した状態で載せます。 車椅子が重いので、以前使っていたアルミスロープを荷室に乗せられる長さに切断してそれを利用して載せました。 ギリギリで載せることができます。 このままだと、私と満理子だけしか乗れないので、今後、他の人が乗れるようにちょっと工夫する必要があります。 これで出発準備完了です。完全に乗るまで数分はかかります。
さあ、出発! 最新カーナビも付いていて、好きなCDも録音してあり、快適なドライブになりそうです。 満理子も乗り心地は若干の違和感はあるものの快適と言っています。 少しくらいの段差ならスピードを落とさなくても問題はありません。 加減速時もそれほど気を使う必要はありません。 旋回時の横Gはやはり横方向のホールドが悪いため、スピードは落とす必要があります。 なんと言っても、軽と比べて乗り心地は比較になりません。そして、当然、車の性能も快適です。 今までと比べてあまりにも乗り心地がよいため、車酔いが心配です。
 予定通り、13時に会場に到着。会場近くのレストランで遅い昼食を摂ることにしました。 見ると、満理子がガタガタと震えて元気がありません。 顔も赤くなっていました。 悪い予感・・・ 頭を触ると熱いではありませんか! まいった! こんな所で熱発です。 満理子に聞くと大丈夫だと言うので食事を始めたんですが、全然食べることができません。 しょうがないので注文したものを詰めてもらって持ち帰ることにしました。 せっかく来たので、稲田さんの演奏だけは聴いていこうと、会場へ。 最前列に席を確保していただき、特等席で開演を待ちました。 満理子の様子は、ますます悪くなり、首筋はかなり熱くなっています。 やっと演奏が始まりましたが、とても集中して聴くことができません。 招待していただいたTさんや、演奏している稲田さんには本当に失礼なことですが演奏途中で帰ることにしました。
 大急ぎで帰路につきましたが途中車内で嘔吐。(間一髪で車を止め、新車を汚されませんでした)最悪の状態で我が家の近くの診療所へ急行し、診察してもらった結果、熱が40度、感染症の疑いで抗生剤と水分を点滴することになりました。 

 最悪の初ドライブになってしまいましたが、ある程度、満理子が快適に乗れることは確認できました。 

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