結婚30年記念旅行

1.計画から出発
2.京都
3.大阪城
4.オフ会
5.通天閣
6.帰路

1.計画から出発

 昭和55年11月に結婚して30年余経ちました。子供にも恵まれ、順風満帆に過ごしていた平成6年9月に満理子はクモ膜下出血を発症し、とても重い後遺症を背負っていまいました。それから17年、結婚して半分以上満理子は寝たきりでした。そんな状況になっても多くの方たちの助けで今は平和に過ごしています。この節目に旅行を思い立ったのが半年前でした。毎年、近場に子供たちと旅行には行っていましたが、今回は満理子と二人で少し長い時間を過ごしたいと思ったのです。旅費のことを考えて大阪の姉の家をベースに京都、大阪をのんびりと楽しみたいと思いました。疲れを最小限にするためにも、自動車移動でなく初めて新幹線の利用を決めました。調べてみると、最新型のN700系のぞみの多目的室は広そうで大型の満理子の車椅子でも乗れそうです。旅行はいつもバリアフリーが完璧の「かんぽの宿」を利用していますが、京都にはありません。いろいろ調べたのですが介護ベッドが用意されている宿はありませんでした。とりあえず、バリアフリールームがあり、尚且つ、目的地の嵐山にある社会福祉法人全国手話研修センター「コミュニティ嵯峨野」に決め、半年前に予約しました。
 忙しい日々を過ごし、あっという間に半年が過ぎました。8月の末、もうすぐ旅行日というのに満理子が急変し、救急搬送されたのです。診察の結果、尿路結石により尿が詰まり腎盂炎を発症したのでした。すぐに処置してもらったので大事には至りませんでしたが、出発日の2日前まで入院しました。
 なんとか、予定日に無事出発することができました。そめさんに見送られて、常総線・寺原駅からいよいよ電車の旅に出発です。途中、常磐線では松戸駅で電車がオーバーランしてバックするという珍事を経験しました。早目に東京駅について、おトイレに行こうと思って駅員さんにベッド付きの多目的トイレの場所を聞いたところ、東京駅には無い!日本の首都のターミナル駅に多目的トイレが無いのです。しょうがないから、そのまま、新幹線に乗ってしまいました。乗った列車はN700系と言う最新型ののぞみ号です。早速、多目的室のに案内されました。思った以上の広さで車椅子をリクライニングさせても余裕です。満理子もリラックスして快適な体制で旅ができました。

東京駅のホーム N700系の多目的室 京都駅の多目的トイレ

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2.京都 平成23年9月8、9日

 のぞみは東京から2時間弱で京都に到着しました。早速、多目的トイレがあるか聞いたところ、構内にちゃんとありました。トイレを済ませて、山陰線に乗り換えて嵯峨嵐山へ。これまで、駅員さんの対応は非常に親切で、各駅に連絡が行き届き、スムーズに移動することができました。
 最初の宿泊先である嵯峨嵐山駅の隣にある「コミュニティ嵯峨野」にチェックイン。研修センターとは言え、とても綺麗なホテルです。バリアフリールームは若干狭く、設備も重度の身体障害者にはちょっと辛いかも。しばらくして、私の姉夫婦と姪1と合流。ブラブラと嵐山を散策しながら夕食を予約してある食堂に向かいました。途中、子供たちが小さい頃に行った思い出の天龍寺に寄りました。息子が枯山水の白砂の中を走って足跡をつけたところです。(もう、時効だろう)そこから、ゆっくりと嵐山の街を見ながら渡月橋を渡り、食堂に到着。やっぱり、京都では湯豆腐です。
 翌日は、嵯峨嵐山から二つ目の駅にある東映太秦映画村に行きました。以前から一度行ってみたかった所です。太秦の駅から15分ほど歩きました。途中の道は狭くてクルマの通りが多く、車椅子の通行はちょっと不安です。古い街ではしょうがないところですね。中に入ったところで早速、水戸黄門のセットとお土産を売っていました。村に入ると、すぐにタイムスリップです。明治の町や江戸時代の町並み。お侍さんも歩いています。平日のせいか、あまり混雑はしていません。のんびりと見学しました。途中の寺子屋では時代劇を作る時の裏話をしてくれました。トイレはユニバーサルルームがあり、ベッドが3つ用意されていて、問題はありませんでした。お昼になったので、古い立た住まいの食堂で昼食。満理子はカレーうどんを注文しました。これが、美味しかったです。たっぷりと楽しんだので、お土産を買って、映画村を後にしました。
 姉の家は阪急・京都線の相川駅にあります。そこで、京福電鉄・嵐電に乗って、四条大宮に出ました。嵐電はレトロな路面電車です。四条大宮から阪急電車で相川まで行き、姉の家に落ち着きました。今回は長期滞在ということで介護ベッドを借りてくれ、おかげで介護の負担が少なくて済みました。
天竜寺 太秦映画村のお侍さんと 嵐電

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3.大阪城 平成23年9月10日

 翌日は私の大好きな大阪城に行きました。相川からは地下鉄堺筋線乗り入れで南森町まで行き谷町線に乗り換えて天満橋で降りました。駅から歩いて10分くらいで大阪城です。と言っても、お堀から城まではまだまだ遠く上り坂も有って手動車椅子では結構大変です。その上、大阪の猛暑の中です。大阪城は老朽化のために平成7年からの大改修で近代化し、エレベーターを設置して車椅子でも天守閣に登れるようになったんです。地上から1階までは外部のエレベーターで昇りました。1階から天守閣までは内部エレベーターで一気に昇ります。天守閣では車椅子でもベランダ?に出ることができ、大阪城の周囲や大阪の街を一望できました。天守閣から降る際は健常者は階段を利用します。移動困難者だけ、エレベーターで降りることができるのです。エレベーターを呼び出すときの合図があって該当者だけに教えてくれるんです。これは秘密です。1階づつエレベーターで降りて見学しました。今ある大阪城は大坂夏の陣で焼け落ちた後、徳川家康が築城したものと知って、太閤さんの象徴だと思ってたので、ちょっとがっかりしました。
 お城の見学を終えて外に出たところで大道芸をやっていました。ちょっと、覗いたら、自転車に乗ったおっさんが満理子に「ネエチャン、前の方へおいで」ってスペースを開けて案内してくれました。その上、今日の大道芸の解説つきです。大阪ならではの人懐っこいお節介なおっさんでした。大道芸は話術と失敗もあってとても面白かったです。しかし、猛暑の中の屋外での見学は満理子にとって過酷なものでした。だんだん、元気がなくなり、体温が上がってきました。昼食時だったので、急いで天満橋のOMMビルへ行き涼しい食堂に入ってランチをしました。そしてお店から氷をもらって、満理子の頭を冷やしたのでした。

大阪城 大阪城 熱中症

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4.オフ会 平成23年9月11日

 体を冷やすことで、満理子の熱中症は一晩で改善しました。翌日はかねてからうちあわせてあった、ネットの友人とのオフ会です。今回はクロちゃんとmizumamaと会うことになりました。タケちゃんやkyokoさん、キティちゃんとは残念ながら都合が付かず会えません。
 待ち合わせは、大きく様変わりした大阪駅です。北側が大開発して伊勢丹なのが入った北ビルができました。まず、ランチは南ビルのホテルグランヴィア19階にあるレストランにしました。バイキングで1650円はリーズナブルです。おいしい、料理を味わいながら、再会を喜び、四方山話に花を咲かせました。
 食後は新しくなった大阪ステーションシティを見学しようと、田舎者集団がキョロキョロしていたら、またおっさんが近寄ってきて、「あんたら、時の広場に行くんちゃうか?車椅子ならあそこのエレベーターに乗って・・・・・・」と親切に教えてくれました。親切で人懐っこく、おせっかいなオッサンが多いのはやっぱり大阪ならではです。オッサンに教えてもらった通りに進むと、大阪駅ホームの上の大連絡橋の時の広場に出ることができました。しばし、ここで見学と会話を愉しみました。その後、北ビル10階に行って和らぎの庭で駅北側の変化を楽しみました。
 たっぷりとみんなでおしゃべりをし、楽しい時間を過ごしました。そして、再会を約束して、お開きとなりました。
オフ会 時の広場 和らぎの庭

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5.通天閣 平成23年9月12日

 翌日は、もう1つの大阪の象徴である通天閣へ行きました。新世界は学生のころはお金のないときにしょっちゅう飲みに来ていたのですが、通天閣には小学校の遠足以来登ったことがなかったのです。灯台下暗しですね。通天閣の周りはすっかり観光地と化し、昔のようなガラの悪い感じがありません。ホワイトカラーやギャルがいる新世界は初めてです。早速、エレベーターで展望台へ昇りました。大阪の街が一望です。高いビルがあちこちにできていました。すぐ下には天王寺公園の緑が広がっています。出身高校が大阪星光学院ということころで、この近所でした。学校をサボって天王寺公園内の「慶沢園」で昼寝をよくしたものです。たっぷりと時間をかけて、久し振りの懐かしの天王寺周辺の景色を楽しみました。
 展望台にはあの有名な「ビリケン」さんがいます。その前で記念撮影をしてくれるお兄ちゃんがいました。せっかくなので記念に1枚。シャッターを押すときにお兄ちゃんが「ビリケンさ〜ん」と叫びます。思わず笑顔に。直後に写真が印刷されると係のお姉ちゃん達が「メッチャ、ええや〜ん」と叫びます。買わずにいられない状況になります。さすが大阪!
 そして、昼飯はもちろん新世界の串カツです。通天閣の前にある「だるま」という有名店に入りました。いつも大行列ですが、運良くすぐに席につけました。昔のガラの悪い串カツ屋ではありませんが、十分に雰囲気は味わえるでしょう。とても美味しいし、もちろんソースの2度漬けは禁止です。お金のなかった学生時代はよく串カツ屋でタダのキャベツを肴にわけのわからん安い酒を飲んだものでした。バイト料がはいったら、北新地で飲んだのです。今日も、たっぷりと大阪を味わいました。

通天閣 ビリケンさん 名物 串カツのだるま

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6.帰路 平成23年9月13日

 6泊5日の記念旅行はあっという間に取手に帰る日になったのです。超多忙な日々が続いてたのですが、この旅行の間は活動のことを忘れてとてもリラックスできました。満理子にはちょっとしんどい部分もありましたが、毎日、毎日大きな刺激があったことは間違いありません。いろんな記憶も残っています。熱は出たけど、リハビリの効果は満点でした。
 新大阪駅では電車に乗る前にトイレへ。駅員さんにたずねたら、なんと新大阪駅にも多目的トイレがなかったのです。日本の二大都市のターミナル駅にバリアフリーが完備されていないのは本当に残念です。重度障害者にとってトイレの確保は非常に重要で長距離電車に乗る前には用を済ませてから乗りたいものです。これからJRに要望を出します。
 結局、トイレは駅事務所の長椅子をお借りして済ませる事ができました。臨機応変の対応は良かったです。姉夫婦に送られて、又、N700系ののぞみの多目的室に納まり、大阪を後にしたのでした。今回の旅行はすべて電車移動でした。利用した駅はエレベーターなどのバリアフリーは完備されているし、駅間、他社の連絡は完璧でどこの駅で降りても駅員さんが待機していて、対応も非常に良かったです。ここ数年でずいぶんよくなりました。ただ、エレベーターが設置されているところがかなり遠回りを強いられるところがいくつかあり、移動制限者に大きな移動を余儀なくされました。
 今回の旅行は満理子と二人の時間を大切にしつつ、大阪を堪能し、姉家族との時間もいっぱい持つことができました。一人での行動がなかったので、学生時代の友達や親戚と会う機会を作れなかったのが残念ですが、新幹線に簡単に乗れることが分かったので、又、大阪へ来ればいいことです。
多目的室で爆睡 N700系のユニバーサルトイレ 富士山

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