浅草おチャケ会レポート

1.きっかけ

平成13年は、満理子にとって飛躍の年になりました。
昨年から始めた訪問リハビリや音楽療法の成果がでて、意識レベルも向上し、手の動きもずいぶん良くなりました。
そして、初めてづくしの年になったのです。
その大きなきっかけとなったのは、大阪に行き、オフ会に参加するという事でした。 そのために、新しい車椅子を導入し、予行演習として、市原のかゆちゃんたちと初めてのオフ会を開き、オフ会の楽しさを知りました。
そして、いよいよ大阪へ。 初めての長距離車移動。 初めての長期滞在。 発病後初めての帰省。 
そして、大々的な全国ネットのオフ会参加。 私にとっては30年ぶりの同窓会。
夏までにこれらの大事業を終え、放心状態になってしまいました。
なにか次の目標を立てないと、私も満理子も張り合いがありません。

そんな時、大阪の母さんのサイト仲間が集まってケーキを食べながらお茶会を開いて楽しまれた様子を聞き、じゃあ、東京でもお茶会ならぬおチャケ会でもやろうか、という冗談を書きこんだところ、「いいねえ」、「やりましょう」と言う声が広がり、実現に向けてとんとん拍子に話が決まりました。

2.目標

掲示板などで、おチャケ会の話が広がるにつれ、新たにお友達になった方たちも何人か参加してくれそうになったので、真剣に計画することになりました。
せっかくのオフ会開催になったのですが、ただ集まるだけでは、私や満理子にとって新たな挑戦にはなりません。 そこで、将来遠くへ旅行するための練習に、電車に乗ってみようと思いました。 電車にしたのは、私がお酒を飲めるということも大きな理由です。 やっぱり騒ぐんなら、お酒が無いと始まりません(あくまでも個人的意見)
そして、電車に乗っていく場所として、以前、やはりネット仲間のゆうこさん(日日是好日)がクルマ椅子で単独道中をして情報があるのと、我々の仲間が浅草に行くといつもお世話になる、仲見世「まさもと」のてるみさんがいることで、偏見と独断で浅草と決めました。
目標と場所が決まったので、いよいよそれに向けて行動を開始しました。 開催日を12月1日としたので、あと1,5ヶ月しかありません。
しかし、実際に動くといっても、私にはなかなか時間が無かったので、困った時の博苦頼みと思い、図々しく船橋の博苦さんにお手伝いをお願いしたところ、快諾を得、段取りは全て博苦さんのお世話になることになりました。
会場はてるみさんの紹介で浅草・松屋のバンケット・ルームを使わせてもらえることになりました。

私の準備としては、クルマ椅子で浅草までどのように行くか? 満理子が長時間、クルマ椅子に乗ったままになるので、その対応を考えることでした。
まず、浅草までは、出きるだけ乗換えを少なくし、乗換え時の移動距離が少ないコースを考え、結果的に常磐線で取手から北千住まで行き、東武伊勢崎線に乗り換え浅草へ行くというコースに決めました。
実際に、行くことが可能かどうか、下見に行きたいところですが、行けません。 そこで、また、博苦さんに登場していただき下見をしていただきました。かなり、細かい内容を写真と図面付きで報告していただき、なんとかなる確認ができました。
あとは、満理子の問題です。 お尻が痛くなる問題は、クルマ椅子を替え、たぶん大丈夫。 あとは尿処理です。
これも、このために試作したスカートをはき、介護ベルトを使えば、クルマ椅子上でオムツ交換できるでしょう。 ただ、場所を取るので、障害者用のトイレでも狭くて作業が大変です。 会場で目隠しの衝立でもあればと思いました。 そこで、またまた博苦さんが登場。 相談したところ、松屋で用意してもらえるように手配していただけました。 
これで、懸案事項は全てクリアーしたことになります。 あとは、当日になって、その場で何とかすればいいと覚悟しました。

3.いよいよ、その日

バックパックにオムツを詰めて、家を10時に出ました。 クルマを駅近くのコイン駐車場(帰ったときのハプニング場所)に止め、クルマ椅子を押し、駅コンコースに昇るためのエレベーター(ココもハプニング)に乗り、改札口まで行きました。  前日に取手駅に電話で、今日の利用を言っておいたので、待ちかねていたように、駅長さんが出迎えてくれ、早速もう一人の駅員さんと、ホームまで降りる準備をしてくれました。

地上から駅コンコースへ昇るための
障害者用エレベーター
改札口 取手駅のエスカレーター

ここのエスカレーターは、三段のステップが同じ高さになり、クルマ椅子が乗れるスペースを確保し、落ちない様にクルマ止めが出てきます。 この装置のおかげで、多くの人のお世話にならずに階段を降りることができました。
なんの問題も無く、電車に乗ることができ、北千住に到着しました。 取手からの連絡で、ホームには駅員さんが待ち構えていました。
そして、今回残念ながら、仕事のためにオフ会参加を諦めた介護仲間の由美ちゃんがサポートに来てくれました。 駅員さんの付き添いでホーム後部にある障害者用エレベーターに乗り、東武線のコンコースに出ました。 5段ほどの階段があり、そこは人海戦術でおろしてもらい、東武の駅員さんに引き渡され、今度は東武の駅員さんの案内でエレベーターに乗り、ホームに下りました。
ここまで由美ちゃんが付き合ってくれ、それから仕事に向かわれました。 この移動している間、ずっと由美ちゃんは感動で泣きどおしでした。 彼女のお母さんは七年間の入院、ウチは二年半の入院でその間の苦労をお互いに良く知っているので、お互いに大きな進歩があった時は他人事ではなく喜んでくれます。

障害者割引と介護者割引の切符 東武北千住駅ホームでスペーシアの前で 東武浅草駅・取手駅と同じようなシステム

東武浅草駅に着くとやはり駅員さんが待っていて、1階まで取手駅と同じようなエスカレーターで降ろしてくれました。
とうとう目的の浅草に到着しました。 電車の乗り継ぎは心配していたほどではなく、とてもスムーズに来れました。 駅の設備も良くなっていて、駅員さんの対応も完璧でした。 クルマ椅子でどこへでも行けそうな気になりました。
ただ、電車車内にはクルマ椅子のスペースがなく、場所を取るクルマ椅子は周りの人にとても気を使ってしまいます。 クルマ椅子の先輩によれば、人の目などには慣れるしか無いということです。 できたら、座席を折りたたんで、車椅子が収まるようなスペースが確保できる車両を装備していただけたらいいなあと思いました。

3.お参り

ブラブラと仲見世通りを通り、浅草寺に向かっているとももえさんから、今着いたという電話が入り、続いてすみこさんからも。
煙前で落ち合うことにしました。 途中で、今回お世話になったてるみさんのお店に寄り、ご挨拶しました。 初対面ですが、イメージ通りの粋でかっこいいおかみさんでした。 再会を約束して、挨拶もそこそこに、本堂に向かっていくと、後ろからMariaさんとあゆちゃんに脅かされました。 市原以来の再会です。
そうこうしているうちに、本堂前にぞろぞろと今回の参加者が集まってきました。 かゆちゃんち、ももちゃん、カモミールさん、すみこさん、keiさん、博苦さん、大阪の姉夫婦。
再会を喜んだり、初対面の挨拶をしたり、そして、すぐにワイワイガヤガヤでした。
ここで、記念撮影になりました。
少し早いけど、ぶらぶらと会場へ向かう途中、人力車の松風さんに会いました。 ここでも記念撮影。 あゆちゃんは人力車に乗せてもらって、ハイカラさん気分です。

浅草寺本殿前で記念撮影 松風さんの人力車をバックに

4.おチャケ会

お参りを終え、会場の松屋へ着き、インフォメーションに場所を聞くと、博苦さんの手配で従業員用のエレベーターに案内されゆっくりと七階に行くことができました。
勇ちゃんとyuriさんがまだ来られてなかったのですが、お二人以外は揃ったので始めることにしました。

参加者
(参加表明順)
ホームページ
ももえさん かゆちゃんち
かゆちゃん
keiさん 心のままに
勇ちゃん 勇ちゃんのほーむぺーじ
あゆちゃん あゆみのGENKIにきらきら☆ぱらだいす
yuriさん いい風が吹きました  yuririnのお部屋
× ねこ。。。さん 仕事のため不参加 流星
すみこさん 鼓太郎がやってきた
Mariaさん ほんわか ぽかぽか
× hissyさん 会社の都合で残念!hissy web
ももちゃん ももえさんの介護仲間
ひげさん 可能性大    男が介護する時 
酒井君、山中君  かゆちゃんの外出ボランティアの学生さん
× フロルさん  お母さんの介護をされています。急遽中止
  さだぼんの姉夫婦 大阪から遠征決定です
 ○ カモミール さん   ももちゃんの養護学校の仲間 
× 由美ちゃん 仕事が入ったため今回はキャンセル
博苦さん 博苦private
満理子&さだぼん まりこの車椅子

参加者は以上の総勢18人になりました。 参加が危ぶまれていた、ひげさんも奥さんの状態が落ち着き、今回の参加になりました。 次回はぜひ、ご夫婦揃ってきていただきたい所です。
尚、フロルさんは、前日にお母さん具合が悪くなり、急遽、不参加になりました。指定券も用意されていたようですが残念です。

簡単な挨拶のあと、乾杯をし、会は始まりました。 普段は掲示板などのお付き合いで交流は有るものの、やはり、もの足りません。足らないところをここぞとばかりに補うように、お喋りに花が咲きました。 あの人ともこの人ともしゃべりたいことがイッパイあります。 
しばらくして、勇ちゃんが到着。 パリっとして、ダンディに決めて来られました。 勇ちゃんとは、市原、大阪、今回と連続でお会いしてます。 年齢差は少し有るけど(失礼)、もう、友達です。
そして、yuriさんが到着です。 でかける前にハプニングが有ったけど、皆に会いたい一心でがんばって来られたそうです。 これで今回参加の方全員が揃いました。
今回のオフ会のタイトル通り、アルコール付きオフ会です。 もっとも、これを喜んでいるのはごく一部の人でしょう。

だんだん、盛り上がってきた所へ、大阪で同時オフ会をしていた母さんから電話が入りました。
そこで、550km隔てたところの合同オフ会を祝して、乾杯となりました。
それからは、スピーカーホンで、1時間以上、ワイワイガヤガヤ、しっちゃかめっちゃかです。

さて、本日のメインイベント、かゆちゃんショーの始まりです。
かゆちゃんと酒井くん山中くんの3人が、すごいコスプレで登場しました。 セーラムーンです!
かゆちゃんの歌に合わせて、バックダンサーが盛り上げてくれます。 大阪にもこの歌はお届けしました。
なんのアトラクションも考えてなかったので、かゆちゃんのおかげで、宴も最高潮となりました。 本当にありがとう。
バックのお二人は、結婚できなくなるから、写真はアップしないでくれと言われましたが、無視して掲載します。

17時頃になり、奥さんのことが心配なひげさんと次のオフ会が控えていた博苦さんが一足先の帰られました。
もう、お開きの時間ですが、ずるずるとお喋りが続きます。 お店から言われて、しぶしぶ、お開きとなり、それぞれ再会を約束して、後ろ髪を引かれながらの散会となりました。

このまま、帰るのはなんとも、心残りなので、希望者だけ、2次会で飲み直すことになりました。 かゆちゃんち、ももちゃん、カモミールさん、すみこさん、勇ちゃん、それにウチ。
ここから、又宴会です。 いろいろ、意見交換したり、くだらないことなど、いっぱいおしゃべりできました。
すっかり、私も酔っ払いです。 たぶん、そこには21時頃まで居たと思います。 やはり、春の再会を約束して、皆さんとお別れしました。
帰る方向が同じ、すみこさんが、北千住まで御一緒してくださいました。

今回のオフ会は、電車で来たこと、アルコール付、新たなお友達との交流など、また、今までと違った経験をさせてもらいました。
満理子もとても喜んでいました。 こんな場面を普段は作れません。満理子にとって、とても良い刺激になります。
今でも、浅草での出来事はしっかり覚えていて、いかにインパクトがあったかを物語っています。
こんな機会を作っていただいた今回の参加者の皆さんや、大阪のオフ会メンバーの皆さん、また、残念ながら参加できなかった方、そして東京・大阪のオフ会に出るにはちょっと遠いけど応援してくださったネットの友人に感謝します。 どうもありがとうございました。

5.おまけ

北千住ですみこさんと別れ、常磐線に乗り、取手に着いたのは9時50分頃でした。
駅コンコースは地上3階レベルに有ります。 改札を出て、朝、来たように、エレベーターで地上に降りようと思ったら、もう、止まっていて降りることができません。
しょうがないので、駅ビルに向かいましたが、もう閉店準備で、やはりエレベーターはストップしていました。 店員さんにお願いした所、従業員用のエレベーターを教えてもらい、それで1階まで行きました。 すると、今度は従業員出入り口には階段が数段有って、表には出られません。
また、店に戻ると、電気は消え、人気も有りません。 思案の挙げ句、守衛室を探し、ガードマンにお願いして、トラックの荷物搬入口のシャッターを開けてもらって、やっと外に出ることができました。 外に出るまで、約30分かかってしまいました。

ぐったりしながら、駐車場まで車椅子を押していき、満理子を車に乗せ、料金を払って出ようとしたら、今度は自動支払機が1000円以上の紙幣は使えなかったのです。 財布には5000円と10000円札しかありません。
車を置いて、また、駅まで行き、タクシー乗り場に並んでいたタクシーの運転手さんにお願いして両替してもらいました。
それで、やっと出ることができ、家に着いたのは、もう11時でした。

満理子をベッドに移し、寝られるようにしてやったら、私はベッドの横に倒れ込んで、服のまま朝まで寝てしまいました。
運動不足による歩き疲れと電車移動の気疲れ、そして、取手でのとどめの出来事で疲れのピークになってしまったようです。

後日、早速、市に駅エレベーターの管理と使用時間について陳情しました。 車椅子使用者にも最終電車まで遊ぶ権利は有りますからね。
それから、電車内では車椅子は場所を取るので他のお客さんに非常に気を使ってしまいます。 将来的には一編成に一両くらいは車椅子が乗るスペースを設けるとか、座席の一部が折りたためるようになってくれればと思います。

今回のオフ会では、楽しい経験もできましたが、教訓も得られました。 これに懲りず、また、いろんな事に挑戦し、自分で障害者の立場を経験して、少しでも社会にフィードバックできたらと思いました。

最後に、博苦さんには、なにからなにまで、たっぷりとお世話になりました。 これに懲りずに、また、お願いしたいと思います。 ありがとうございました。

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